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ちょっと聞けない質問

Q  鍼灸の業界用語ってありますか?

A   例えば、テレビ業界では、ゲツクといわれる「月9(月曜日の9時)」や「シースー(寿司)」など知られていますね。

     鍼灸にもたくさんあります。 大まかな業界用語としては、例えば治療においては、

   バッシン(鍼を抜くこと)、ジャクタク(刺鍼中の鍼を震わす手技の一つ)、チシン(刺したまま置くこと)などの言葉があります。

   他にも、国家試験で鍼師か灸師のどちらかの免許しか取得できなかった人を「キューチャン」や「ハリチャン」などと呼びます。

   経穴の名前でも例えば「しょうかい」と言う経穴は少海・小海・照海の三つがあり、口頭で研究発表するときは、

   いちいち漢字の説明や経絡名を言わなくては成らず、非常に不便です。 

   業界では、少海をヒゲしょうかい、照海をテルしょうかい、なんて呼んで工夫しています。

Q  鍼や灸で人を殺すことが出来ますか?

A  今は亡き勝新太郎の「座頭市」の劇の中に、針を延髄に刺して呼吸を止めてしまう「完全犯罪」の話が出てくるそうで、

       「ほんとに針で人を殺せるのかねえ」と、中年以降の方が、たまに疑問に思っているそうです。 
       また若い年代では、主人公がツボを使って敵をやっつける漫画「北斗の剣」を読んで、「ツボで人を殺せるんだな」と

         勘違いしている人がいます。幸いに、一般に使われている鍼では、即死に至るほどの威力はありません。 

        人間の体は、特に大事なところは硬い骨に守られていて、容易に危害を受けないように出来ているからです。

        延髄は脳組織の一番下の部分になりますが、ここも頸椎という背骨の一番上の部分がガッチリとガードしているので、

        強力な電気ドリルでも使わない限り、まず脳組織に達することは出来ません。 

        また、北斗の剣では、主人公のように指をツボに当てただけで、光り輝き、人が消えていくなんて有り得ませんね。

        けど、北斗の剣では、ツボの名前や位置までツボを正確に使っているそうで、著者は鍼灸ファンかな?

 

Q  鍼灸師って吹き矢のように鍼を刺せないんですか?

 

A  さすがに鍼灸師でも、「必殺仕事人」のように吹き矢で刺せませんね。しかも、やってみようにも、

   誰も試験台になってくれる人はいないでしょうし、非常に細い鍼を飛ばす吹き矢がないでしょう。

    そもそも日本で使われている鍼は、中国鍼ほど鋭利ではなく、そのままでは体内に刺入できず、

   「管鍼法(筒に鍼を入れ指で叩いて刺入する方法)」を用いています。 

     例え、吹き矢で鍼を飛ばしても、刺さらないでしょうし、不衛生ですね。

    では、仮に中国鍼を使用したら、中国鍼は先端が鋭利なため、もしかしたら刺入できるかもしれません。 

    けど、ちゃんと目標のツボに適切な深さで命中できるのかな? まあ、すべての問題をクリアして刺せれば、

    必殺仕事人鍼灸師のできあがりです。

Q  鍼灸師は消毒する際に使うアルコールで酔っ払わないの?

A  確かに、毎日何人もの患者さんを扱い、その施術の度にアルコールを使い消毒していますから、気化したアルコールで酔っ払う

   なんて、ある訳ないです。 まあ自分に酔っているナルシストな鍼灸師はいるかもしれませんが。

     気化したアルコールだけで酔うには、施術室に大量のアルコールが気化していなければ、酔わないでしょう。 

    しかし、例え、そんなに大量のアルコールが気化したとしても、静電気やお灸の火で大爆発!! 

    まあそんなに大量のアルコールが、この小さな鍼灸院にあるわけないです。

Q  鍼灸業界では言ってはいけないタブーってありますか?

A  まずは「診断行為」です。 「あなたの病気はヘルニアです」とか「高血圧です」など、

    確定した言い方での断言は、診断行為となり医師法違反になるのです。 

    そのため、鍼灸師は、「ヘルニアの可能性があります」とか「高血圧気味ですね」など、間接的な言い方で述べます。

    患者様の側からすれば、ちゃんと判断してほしいと思いますが、鍼灸師は口が裂けても診断できないのです。

    また「あなたにはこの薬が効く」や「この薬は飲まないほうがいい」など、薬の処方や使用方法の助言行為は薬事法違反になります。

   「痛いですか?」や「気持ちいいですか?」なども言ってはいけないタブーなのです。 

   一見、何も問題ないようなフレーズですが施術者は使いません。 

   まず、「痛いですか?」のフレーズは、治療を受ける側に「痛み」を連想させてしまうので、刺激に対して

   過敏になります。 「熱いですか?」「鍼を刺します」も同じです。 

   また「気持ちいいですか?」のフレーズは、性的快楽の感覚に属してしまうので使わないのです。 

   基本的には、「辛くはないですか?」「心地よいですか?」「鍼を施します」のような当たり障りのないフレーズを使います。  

   治療を受ける側からすると、言われてみれば確かに・・・なんて思うでしょうね。

Q  鍼灸って魔法ですか?

A.  東洋医学の治療効果を証明する手段が発見されていない部分があるため、魔法のように思われる人がいます。 

         施術する私でさえ、劇的な改善に驚くことがしばしばあるほどです。 しかし、ハリーポッターとは違い魔法ではありません。 

         チチンプイプイ~♪と棒を振って治せるなら治してみたいですけど。 

         明治時代に流行した脚気に、鍼灸治療が魔法のように活躍しました。 当時では、まだ脚気は原因不明の病であり、

         多く西洋医学者が顕微鏡を使って原因究明に当たっていました。 しかし、その反面、鍼灸治療で劇的に治癒してしまうことに

         驚いた政府が、理由を鍼灸師に問いただしたところ、西洋医学のような正確な答えが返ってこなかったため、

         奇妙に思われ、魔術扱いされてしまったそうです。 

 

Q  鍼の練習はどのようにするのですか?

A  剣道では、いきなり本物の刀を使うと、殺人事件になってしまうので、竹でできた竹刀(しない)を使って練習しますね。 

    しかし鍼では代用品がないので、実技の時間にはいきなり本物の鍼を持たされます。
    ただし、はじめに刺すのは人体ではなく、弾力性のあるスポンジに布を巻いた刺しやすい「鍼枕」といわれるものを使います。 

        現在は最初の数時間は鍼枕を使い、その後は自分の足、生徒同士、さらに教師の体という風に進んでいきます。 

    教師に刺す時は、生徒は皆、緊張感で手が震えます。

Q  料理人ではマイ包丁がありますが、鍼灸師にはマイ鍼はないのですか?

A  鍼灸師も臨床経験が長いほど偉くなるので、技術職と言えるでしょうし、職人ですね。 

         職人は、自分専用の工具や道具を持つものです。 例えば、料理人では包丁、大工では鉋、バイオリストではバイオリンがあります。

       しかし最近の鍼灸業界では、衛生上、使い捨て鍼が支流になっており、マイ鍼は持てません。 

         その代わり、大抵の鍼灸師は、刺入感覚の伝わりやすさや、刺入のしやすさ、コストなどで、鍼を選び、購入しています。 

         しかし昔は、マイ鍼がありました。 現在の材質はステンレスですが、一昔は銀でした。 銀は腐食しにくく、加工も容易で、

         刺入・操作するときの柔らかさと弾力が適当で、特に指先の感覚の鋭い盲人の治療家にとっては、理想的な道具とされていました。       しかし細い鍼であるため、この針先の研磨は1種の職人芸で、職人により、1本1本手作りで供給されていたため、比較的高価で、

         治療家も1本の鍼をアルコールで湿らせた脱脂綿で消毒して何人もの患者さんに使っていました。 

         手や鍼をふつうに消毒してあれば、それほど問題は起こりませんでしたが、今の衛生感覚では考えられないですね。

 

Q  鍼治療は、金属以外の材質で、できないの?

A  使い捨ての小児鍼では、小児鍼自体が低刺激のためプラスチック製がありますが、通常の鍼では金属以外の材質はありませんね。 

        でも、例えば、金属以外の材質として、木・プラスチック・石を使ってみたら、どうなるでしょうか?

        まず、木。 爪楊枝みたいになりますね。 爪楊枝鍼治療! 木は表面がザラザラ。いくら研磨しても、金属ほどツルツルには

        できないでしょうし、灸頭鍼(鍼に灸を付ける方法)なんてしたら灸と一緒に灰になってしまいますね。

        では、プラスチック。 プラスチックを髪の毛ほどの細さにしたら、柔らかすぎて、刺さらないですね。 

        製造段階の高温滅菌で溶けてしまうのではないでしょうか。 

   今度は、石。 石器時代に逆戻りのような感じ。 サバイバル鍼治療! 度胸試しにはもってこいですが、

   石を髪の毛ほどの細さにしたら、容易に折れますね。 でも硬い石といえば、宝石の中のダイヤモンドがあります。 

   ダイヤモンド鍼治療! セレブには人気がでてきそうですが、1本いくらになることやら・・・  

Q  鍼灸は儲かる商売ですか?

A  誰でも、他人様の持ち物、他人様の商売などというのは興味があります。 

   私でも、道端を歩きながら、いくら儲けているんだろう~なんて考えたりします。 

   しかし、鍼灸師は収入にあこがれてなる職業ではないです。

   まず鍼灸というのは、社会になくてはならないというものではありません。 

   肩こりでも腰痛でも軽いものは我慢してしまえばいいし、逆にひどい場合は医者の方に行ってしまうでしょう。 

   それに年々、鍼灸学校が作られ、鍼灸師の量も増え、鍼灸業界は飽和状態です。患者の争奪戦が始まっているとも言われ、 

   そういう点では、鍼灸の営業というのも難しくなってきています。

Q  なぜ待合室と施術室はキッチリと壁で遮ってあるのですか?

A  待合室にいると閉塞感を感じる方もいると思いますが、保健所からの指導により、施術室と待合室の区画を、

   固定壁で上下左右完全に仕切っているんです。 またベッドを2台以上設置する場合には、各々をカーテン等で仕切ることも

   指導されています。 このことは法律では全く触れられていないのですが、問診時の会話や治療中の様子など、

   プライバシーに配慮するため保健所が指導という形で入れているのです。

   ちなみに、法律では、この4項目が鍼灸設備に対して定められています。

   ① 6.6 ㎡以上の専用の施術室を有すること。

   ② 3.3 ㎡以上の待合室を有すること。

   ③ 施術室は室面積の1/7 以上に相当する部分を外気に開放できること。(換気装置がない場合)

   ④ 施術に用いる器具、手指等の消毒設備を有すること。

    「ろく(6)な施術もせず、散々(3)待たせ、お客を外に無く(7)す」 なんて学生の時に語呂合わせで覚えました。

    こんな治療家にはならないように気をつけます。

    意外に6.6 ㎡、3.3 ㎡は狭いんです。 合わせても、畳3~4畳ほどです。 

   最低面積なので、こんなに狭い治療院は見たことないですが、これほど狭くても仕事ができるのは、

   ある意味「隙間産業」ではないでしょうか。

 

 

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